さてさて、浅草寺裏からとうとう浅草寺正面へ。
右だーーー! 左だーーーー! まえだぁぁぁぁぁぁ! という言葉も慣れてきました。
前の人に合わせて、声に合わせて進む。前の人も後ろの人もくっつきすぎて、もはや誰も割り込むことは出来ない状況。
これを抜けようなんて、思いません。だって、もう足も踏まれなくなったし! ランナーズハイならぬミコシーズハイ? 状態です。もうここにいることが楽しくて仕方ありません。ホントに。
そして気が付いたら「させーーーーー!」
「さす」とは、お神輿を「差し上げる」こと。両腕をいっぱいに伸ばしてお神輿を上に差し上げました。
私の担ぎ手? としての技量は皆無に近いため、何の役に立っているのかもはや分かりませんが…、見上げた時に目の前に広がったのは、青空と浅草寺(当たり前か…)。ですが、このあっと言う間の時間。何でしょう、何か神々しい。勿論、人は沢山いて大勢の声も聞こえるんですけど、そういった声よりも何よりもパッと広がった景色の視覚的記憶はあるものの聴覚的な記憶がない。不思議な気持ちでした。
と、ボケーっとする時間は勿論なく、お神輿はクルッと180°向きを変えて(あれだけの大勢の人が狭い中をきちんと回すんです)仲見世通りへ向けて発進! その先は雷門を抜けて外界に。
マスター曰はく「雷門を抜けて広がる空。そしてギャラリーの多さは、すごいぞーーーーー! 楽しいぞーーーー!」と事前に聞いていた世界へGO! と心躍らせていると、いつの間に下を向いていたらしくそれを見ていたマスターからの「おーーーーい! 笑えぇぇ!! みんな見てるぞーーー!」の一言で、ハッと周囲を見てみると、街の方や観光客の方、多くの人が仲見世の通りにいらっしゃいます! マスターの奥さんが写真を撮ってくれてます!
そうなんです。混んでいるからと言って今まで行きもしなかったお祭り。まさか、そのお祭りの中心に自分が参加できていることをすっかり忘れていました。
お神輿を見ている大変多くのギャラリーの方は、一緒に掛け声を上げていたり、手を振っていたり、撮影をしていたりと様々。大勢の方が注目している中を自分がお神輿を担いで通るんです。カメラやギャラリーを意識して笑顔…?
…マスター、やっぱりそんな事出来ません。だってもうすでにいっぱいいっぱいですからぁぁぁぁぁ!
と心で叫びながらも、ミコシーズハイの私は下を見ないでとにかく前を向いて進みます。
前を向くと、そこはもう雷門。
「トンネルを抜けるとそこは雪国だった。」は、かの有名な川畑康成の小説でしたが、「雷門を抜けたら…」どんな世界が広がるのか! 楽しみ楽しみ。ワーイワーイ♪
malico
次回に続く
【自分の目とYOUTUBEで見た浅草寺境内のそれとは違ってました…】
その後、YOUTUBEでその時の様子をチェック。俯瞰で見る浅草寺境内は、人が大勢グルグル回っていてお神輿の周囲は、まるでパンク・ライブのMOSH*状態。でも、町会の方々がそうならないようにお神輿の周りにいる人を抑え、ガードしたりしてくれていました。その時の私の視野はとても狭く半径50cm以内しか見えていないので、この光景は全く知らず…。
私のような何も知らない完全初心者が、安全に担げたのは、町会をはじめとしたさまざまな方々の支えによるものなんですね。
*MOSH : モッシュ = ライブなどで熱狂的な人達が盛り上がりすぎて、激しい押しくらまんじゅうのような状態になること。
*writing/malico
オフィスワークに家事・育児、PTA活動やママ友とのお付き合いなどなど…、目まぐるしい日々を送りながらも、小学校2年生の愛らしい娘をもつ一児の母。埼玉県生まれの東京・港区育ち。
*illustration/T-hirano
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